重症虚血肢について

重症虚血肢と糖尿病 

 重症虚血肢になる患者さんははかなり全身的に合併症のある場合が多く、糖尿病の患者さんに特に多くみられます。
糖尿病によって足の潰瘍が出来るのは虚血、つまり血管が詰まって起こる場合と、神経障害によって起こる場合があります。
虚血の場合も糖尿病性の患者さんの特徴として膝から下の細い血管が詰まる事が多くなります。それに加え神経障害がありますので、傷ができても本人には全く自覚が無く、どんどん菌が入って傷が広がり、免疫的に低下もします。
その結果どんどん酷くなりますので,糖尿病の患者さんの場合は重症化することが多くなります。
透析の患者さんの場合は特に、糖尿病であって透析が無い患者さんに比べ血管病変が非常に強いため石灰化が起きていることが多く、そのため治療も困難を極めますし、たとえバイパス手術が成功しても結局足を切断せざるを得なくなる場合もあります。
足首までの血流は滞っていなくても、指までの血流が詰まっている場合もありますので非常に治療が難しいです。

◆石灰化

※クリックで拡大します。

◆重症虚血肢

 
 

 

予防について

 糖尿病のコントロールをすると共に、診療所を受診する際に採血と問診だけではなく、必ず足を診るように意識している施設を受診することが予防につながります。
重症虚血肢は進行が速い疾患ですから少しでも足に異常がみつかれば早めに対処して酷くなる前に治療をすることが重要になります。
透析の場合も数時間透析を受けている間に必ずフットケアをおこない、足を診断し、足の虚血の状態を評価して異常を感じたらすぐに専門の病院に相談をする体制を整えることが大切です。



診断について 

 まずは虚血の状態を診断します。皮膚の灌流圧を測る機械があり、ある一定の数値以下であれば傷が治らないという評価ができます。
ですから傷がなかなか治らずに受診される患者さんはまず灌流圧を測り、数値によって血流を良くする必要があれば血行再建を検討することとなります。
潰瘍、壊疽があっても虚血が原因かどうかを診断するためには、かかりつけの先生に足の脈を触れていただいて脈が触れなければ虚血を疑い、専門の病院での検査が必要となります。
潰瘍、壊疽になっても診断が遅れて傷が治らずどんどん酷くなり、悪臭がしてからやっと専門の病院を受診すると治療が非常に難しくなります。
ですからできるだけ早期に専門の病院を紹介してもらうことが重要です。